AGA(男性型脱毛症)は、世界的に病態の研究が進み、かなり詳細な内容が明らかになりつつある状況です。
基本的に男性特有の病気とされていますが、遺伝的に受け継がれる要素が多く、体質として持って生まれた場合、発症をどのようにして抑制するかといった考え方が現在の主眼となっています。
生まれつきと言われてしまうと、もう自分ではどうしようもないのではと感じてしまう人もいるかもしれませんが、まったく原因がわからず対処もできなかった時代に比べれば革新的な進歩と言えます。
また、遺伝子を持っている人すべてが必ず発症するというわけではなく、対抗する手段があるというのはかなり心強い事実でしょう。まずはAGAがどのようにして起こるのか、その概要をあらためてまとめておきましょう。
AGAって何?
AGAは男性型脱毛症という病気です。英語ではAndrogenetic Alopeciaと言いますが、Androgeneticは「雄性の」Alopeciaは「脱毛症」ですから、基本的に男性特有の病気です。
それは男性ホルモンであるテストステロンが影響を及ぼしているからで、年齢を問わず男性に脱毛が進行する場合に疑われるものです。
もちろん男性が薄毛になったらすべてAGAだというわけではないのですが、乱れた生活をしていないのに若いうちから頭髪が抜け始めた場合は疑ったほうが良いでしょう。
専門医の治療によって治せる病気になってきましたが、その発症原因には様々な要因が絡んでいることが多いのです。
AGAとはどういう病気なのか?
AGAの発症に男性ホルモンが関与していることを解明したのは、アメリカエール大学の皮膚科医J.B.ハミルトン博士です。博士は去勢された男性に男性ホルモンのテストステロンを投与し、脱毛が進行することを発見しました。
その後、テストステロンの投与で薄毛が進行するのは遺伝的に因子を持つ人だということが判明し、遺伝子と男性ホルモンとの両方の要素が関与していることを突き止めました。
その後、5αリダクターゼという還元酵素がテストステロンに関与することが直接的な原因になることが分かったのは1960年代ですが、現在ではその機序もほぼ詳細まで解明されています。
AGAが起こるメカニズムは、男性ホルモンであるテストステロンが、体内にある5αリダクターゼ還元酵素によってより強力なジヒドロテストステロンに変化され、それが頭部の毛乳頭細胞に作用することで薄毛が進行するというものです。
5αリダクターゼは主に頭頂部と前頭部に多く存在しているため、AGAは髪の毛の額の生え際や頭頂部から進行しやすいことも分かっていますし、前立腺にも多く存在しているため、前立腺肥大症を引き起こすことも分かっています。
ジヒドロテストステロンがなぜ毛乳頭細胞を萎縮させ、成長期にある髪の毛に栄養を与えることを遮断する信号を出すのかはまだ分かっていませんが、何の働きを阻害すればAGAの進行を抑制出来るかは、すでに判明した事実と言えるのです。
AGAの原因ははっきりと解明されてない
AGAがなぜ発症するのか、根本的な発症原因ははっきりとは解明されていません。
もともと潜在的に持っている要因はあるのですが、それでも症状が現れず、そのまま生涯過ごせる人もいます。
何がトリガーになるかは個人差が大きいためになんとも言えないのですが、直接的な原因は男性ホルモンのテストステロンが、ジヒドロテストステロンという強力なホルモンに変化することで、特に額の生え際や頭頂部の毛母細胞を萎縮させることが原因であることは判明しています。
その変質に関わるのが5αリダクターゼという還元酵素ですが、5αリダクターゼには1型と2型とがあり、2型のほうが前頭部や頭頂部の毛乳頭に多く存在していることがわかっています。
AGAと遺伝の関係
前述の通り、AGAを引き起こすのは男性ホルモンであり、それに関与するのは5αリダクターゼ還元酵素です。
遺伝的に、男性ホルモンの分泌量が多い、5αリダクターゼの活性が高い体質の人はAGAを発症する要素の高い人ですが、もう一つ、男性ホルモンを受け取る受容体=アンドロゲンレセプターの感受性が高いことも重要な要素となります。
アンドロゲンレセプターは、男性ホルモンを受け取って細胞で活用するための受け口ですが、テストステロンやジヒドロテストステロンをよりたくさん受け取ることが出来る体質のほうが、より薄毛が進行しやすいという特徴があります。
このため、生まれつきAGAが発症しやすい体質かどうか検査する場合には、アンドロゲンレセプターの感受性の高さを遺伝的に調べる方法が採用されています。
AGAの専門クリニックなどではこの遺伝子検査を受け付けていますので、自分の体質を知りたい時には誰でも活用することが出来ます。
ドイツの大学の研究チームは、2005年に頭髪を薄くする遺伝子を特定し、それが母親から受け継ぐX染色体に関係するとことを発表しました。
昔から、母方の家系に薄毛が発症している男性の親族がいる場合、子孫の男性は薄毛になりやすいと言われていましたが、これが生物学的に証明されたことになります。
X染色体は母方からしか受け取れない遺伝子であり、優性遺伝ですので、家系を見れば検査を受けなくても概ね予想は出来そうですね。ただ、一概に言い切れるものではなく、遺伝子を持っていても一生発症しない人ももちろんいます。
頭髪は様々な条件から影響を受けやすい部位なので、原因は一つとは言えないのです。
5αリダクターゼの分泌量は遺伝で決まる
要はテストステロンが5αリダクターゼの影響を受けてジヒドロテストステロンに変わらなければいいと言うことですが、実は5αリダクターゼの分泌量は遺伝で決まると言われています。
「父も祖父も薄毛だから自分も薄毛」という人がいますがこれはあながち間違いではありません。というのも5αリダクターゼは優性遺伝子であり、5αリダクターゼを活性化する遺伝子を1つでも持つ人は薄毛になりやすいのです。
両親のどちらかが5αリダクターゼ活性遺伝子を持っていれば子供にも受け継がれる可能性が高いと言うことです。その確率は2分の1から4分の3となっており、高確率と言えます。
生活習慣の影響を受ける場合も
遺伝子を引き継いでいなくても生活習慣が乱れていればAGAになる可能性はあります。
例えば栄養バランスの悪い食事を取っている、お酒を飲みすぎたりたばこを吸ったりする、ストレスを常に受けている、と言ったことです。脂質や糖分の多い食事は血液中の中性脂肪値が上がりますので血液がどろどろになります。
すると血行が悪くなるため育毛に必要な栄養素や酸素が十分に頭皮に行きわたりません。さらに髪の毛の成長に必要なたんぱく質、亜鉛、ビタミン類が不足しているのも問題です。
ダイエットや偏食などにより栄養不足に陥りやすいと言われています。お酒の飲みすぎや喫煙も同様です。そしてストレスを受けると体は抗ストレスホルモンを分泌します。
抗ストレスホルモンは男性ホルモンの一種ですから5αリダクターゼの影響を受けるとジヒドロテストステロンに変わりAGAを発症する可能性がアップしてしまうのです。
進行するAGA
AGAは放っておいて治る病気ではありません。AGAに気が付いた時点で治療を開始しなければ改善されることなく進行してしまいます。前髪が後退してきた、頭頂部の頭皮が目立つようになってきたと言う方はすでにAGAを発症している可能性があります。
AGAは適切な治療と自身で食生活や生活習慣を見直すことが大切です。もし薄毛や抜け毛に悩み、AGAを疑うのであれば早めにAGA専門クリニックを受診しましょう。
早めの対処でAGAが治る可能性も高くなります。現在は様々な治療法が確立されていますので、AGAを治したい方はできるだけ早くに診察を受けるようにしましょう。今ならオンライン診療に対応したAGAクリニックもあるので遠方の方でも気軽に診察してもらえます。
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